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沖縄の伝統行事「タンカーユーエー」とは?準備するもの・並べ方について解説

タンカーユーエーは沖縄に古くからある伝統行事の一つです。満1歳を祝う行事とされており、必要な道具を揃えて順を追って進めます。タンカーユーエーは家族内だけでなく、親族を集めて大きく祝います。

しかし、「タンカーユーエーってどんな行事なの?」「本土にはない文化だけど、どのように進めればいいの?」といった疑問が出てくるでしょう。

そこで本記事では、タンカーユーエーの概要や必要な準備、並べ方について解説します。タンカーユーエーの当日の流れやよくある質問についても紹介するため、気になる人はぜひチェックしてください。

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目次

タンカーユーエーとは満1歳を祝って将来を占う沖縄の伝統行事

沖縄には独自の文化や風習が数多く残っており、子どもの成長を祝う大切なイベントとして広く知られているのがタンカーユーエーです。本土で例えると「一升餅」や「選び取り」に近い意味合いを持つ行事で、子どもが無事に満1歳を迎えたことを盛大に祝います。言葉の意味としては、「タンカー」が満1歳、「ユーエー」がお祝いを指しており、家族や親戚が集まって子どもの健やかな成長を喜び合う素晴らしい伝統行事です。

昔は現在ほど医療技術が発達しておらず、衛生環境や栄養状態も十分ではなかったことから、免疫力の弱い赤ちゃんが無事に1歳の誕生日を迎えることは、家族にとって奇跡に近い喜びで、特別な意味を持ちます。タンカーユーエーのメインイベントは、赤ちゃんの前に赤飯、筆と墨、本、そろばん、お金、ハサミなどを並べ、どれを最初に手に取るかでその子の将来を占うといった儀式です。例えば、本や筆なら学者や役人、そろばんなら商売上手、お金なら一生お金に困らないといった言い伝えがあります。

将来を決めつけるものではなく祝うきっかけとして楽しむ

タンカーユーエーで行われる選び取りは、子どもが何を選ぶかによって将来の職業や才能を占う内容ですが、決して結果を深刻に受け止める必要はありません。あくまでお祝いの席での余興の一つであり、将来を決定づける運命論的なものではないからです。本土から沖縄に来て初めてタンカーユーエーを行う場合「もし良い意味のアイテムを選ばなかったらどうしよう」といった不安になる人もいますが、この占いは前向きな願いや期待を込めて、明るく楽しみましょう。

近年では、伝統的なアイテムだけにこだわらず、現代風のアレンジを加える家庭も増えてきました。例えば、スポーツ選手になってほしいといった願いを込めてボールを置いたり、IT関連の才能を期待してタブレットやマウスを並べたりすることもあります。また、アイドルや歌手をイメージしてマイクを用意するケースもあるようです。周りの大人がとって欲しいアイテムと声援を送って盛り上がったり、子どもが迷いながら手を伸ばす愛らしい姿を動画を撮影したりすることが、タンカーユーエーの最大の醍醐味です。

タンカーユーエーに必要な準備物は定番道具と祝い膳

タンカーユーエーは、沖縄で満1歳の誕生日を盛大に祝う伝統行事であり、準備には大きく分けて「選び取り(タンカー占い)に使う道具」と「集まってくれた親族に振る舞う祝い膳」の2種類が必要になります。タンカーユーエーは単なる誕生日パーティーではなく、子どもの将来を占う儀式としての側面が強いため、事前に必要なアイテムをリストアップし、漏れがないように準備することが重要です。ここでは、タンカーユーエーに必要な準備物を解説します。伝統的なルールを守りつつ、各家庭のスタイルに合わせて無理のない範囲で準備を進めましょう。

主役の子どもが安全に触れられる道具を用意する

タンカーユーエーの主役は、満1歳になった赤ちゃんです。この時期の子どもは、興味を持ったものをすぐに手に取り、口に入れて確かめようとする習性があります。そのため、占いに使用する道具を用意する際は「安全に触れられる状態かどうか」を優先して確認しましょう。例えば、ハサミやカッターなどの刃物類は、そのまま置くと怪我をするため、非常に危険です。ケースにしっかりと収納した状態にするか、刃の部分をテープで保護する、あるいは子ども用の安全な工作用ハサミや、おもちゃのハサミで代用するといった工夫が必要です。

また、衛生面への配慮も欠かせません。紙幣や硬貨などのお金、普段使っている電卓、仕事道具などは、不特定多数の人が触れていたり、ホコリを被っていたりすることがあります。赤ちゃんが舐めてしまっても問題ないように、使用前には除菌シートで綺麗に拭き取ったり、新しいものを用意しましょう。さらに、誤飲の可能性がある小さなパーツが含まれていないかもチェックが必要です。そろばんの珠が外れていないか、ペンのキャップが緩んでいないかなど、細部まで確認が必要です。大人が盛り上がっている最中に予期せぬ事故が起きないよう、万全の安全対策を講じた上で、安心して楽しめる環境を作る必要があります。

ご飯・赤飯などの食べ物は「一生食に困らない」願い

選び取りのアイテムの中で、最も基本的で重要な意味を持つのが「ご飯」や「赤飯」といった主食類です。沖縄の言葉では「メシゲ(飯)」とも呼ばれ、子どもが選んだ場合、「一生食べ物に困らない」「食いっぱぐれることがない」といった願いが叶うとされています。昔は食料事情が不安定な時代もあったため、子どもがひもじい思いをしないといったことは、何よりの幸福とされていました。その名残として、現在でも必ずと言っていいほどラインナップに加えられています。

用意する際は、普段食べているお茶碗に白米を盛るだけでも十分ですが、お祝いの席といったこともあり、縁起の良い赤飯を用意する家庭も多く見られます。また、地域によっては、ご飯そのものではなく、お米を一升餅のように背負わせる風習と混ざっていたり、炊く前の生米をお皿に入れたりするケースもあります。選び取りの際には、お椀の蓋を開けて香りを漂わせ、子どもの興味を惹くような工夫をすることもあります。子どもが真っ先にご飯に手を伸ばしたら、将来の食生活が豊かになり、健康で丈夫な体に育つことの証です。「食欲旺盛で元気に育ってほしい」といった願いを込めて、炊きたての美味しいご飯を用意してあげましょう。

そろばん・電卓は「商売上手・計算に強い」方向性

そろばんは、古くから商人の道具として使われてきたことから、タンカーユーエーにおいては「商売上手になる」「計算が得意になる」「数字に強くなる」といった意味を持つ定番アイテムです。これらを最初に選び取った子どもは、将来ビジネスの才能を開花させ、商売人として成功したり、家計をしっかりと管理できる堅実な大人になったりすると言われています。沖縄では多くの商店や会社経営者が、このそろばんを非常に縁起の良いアイテムとして大切にしてきました。

現代においては、そろばんが家庭にないことも珍しくありません。自宅にない場合は「電卓」で代用するケースが一般的です。意味合いはそろばんと同じく、計算能力やビジネスセンスの象徴となります。近年では、IT社会を反映して電卓の代わりに「パソコンのキーボード」や「マウス」「スマホ」などを置く家庭も増えてきました。これらを選んだ場合は、「IT企業で活躍する」「エンジニアになる」「情報処理に長けた人材になる」といった、現代風の解釈でお祝いします。形は変わっても、子どもに「社会で活躍できる能力を身につけてほしい」「経済活動において成功してほしい」と願った親心を表していると言えるでしょう。

お金は「お金に困らない・財運」願い

タンカーユーエーにおいて、お金は「将来お金に困らない」「財運に恵まれる」「大金持ちになる」といった願いが込められています。現実的な幸福を象徴するアイテムで、子どもに選ばれると祝いの席が盛り上がります。

準備するお金は、硬貨ではなく紙幣を用意するのが一般的で、紙幣の中で一番額面の大きい一万円札を用意することが多く、中には「より大きな富を掴んでほしい」といった願いを込めて、一万円札を数枚重ねた束を置く家庭もあります。また、祝いの儀式となるため、使い古されたシワシワのお札ではなく、銀行で新札に両替したものを用意すると、より清々しく縁起が良いとされています。

準備する際は赤いご祝儀袋に入れた状態で置くこともありますが、子どもが視覚的に確認しやすいようにお札をそのまま置くか、中身が見えるように少し顔を出させておくのがポイント。現金を生々しいと感じる場合は、財布を置くケースもありますが、一万円札のインパクトと分かりやすさがタンカーユーエーの醍醐味と言えるでしょう。

ハサミは「手先が器用・ものづくりの才」

ハサミは、裁縫道具の代表として置かれるアイテムで「手先が器用になる」「裁縫上手になる」といった意味が込められています。かつての沖縄では、特に女の子がハサミを選ぶと「良いお嫁さんになる」「針仕事で家計を助けることができる」と喜ばれました。衣服を自分で作ったり直したりする技術は、生活を支える上で非常に重要なスキルだったためです。しかし、現代では性別に関わらず「ものづくりの才能」や「クリエイティブな能力」の象徴として広く解釈されています。

例えば、男の子がハサミを選んだ場合でも「将来は美容師になるかもしれない」「ファッションデザイナーとして活躍するかも」といったポジティブで多様な未来を想像することができます。また、建築家や工芸作家など、道具を使って何かを生み出す職業全般への適性を示すとも言えます。準備の際は、安全面への配慮が必須です。刃が開かないように固定したものや先端が丸い子ども用のハサミ、ソーイングセットを象徴として置くケースもあります。ハサミが示す器用さは、どんな職業に就くとしても役立つ才能の一つと言えるでしょう。

筆とすずり・ペンは「学問・公的な仕事」などの象徴

筆とすずりは、学問や教養の象徴として伝統的に用いられてきたアイテムです。これを選んだ子どもは「頭が良くなる」「勉強好きになる」「字が上手になる」と言われています。また、昔の社会において筆を使う仕事といえば役人や書記官であったことから「将来は公務員や官僚などの堅い職業に就く」「公的な仕事で出世する」といった意味も持っています。子どもに安定した人生を歩んでほしいといった願いや知的な大人に育ってほしいといった期待がこめられています。

現代の家庭では、実際にすずりで墨を磨いて用意するのは手間がかかることから、太めのマーカーペンや万年筆、ボールペンなどで代用するのが一般的です。これらを選んだ場合も「文筆家になる」「作家として成功する」「研究者になる」といった解釈ができ、知的な職業への適性を祝います。筆記用具は知性と社会的な地位を象徴する重要なアイテムとして、タンカーユーエーに用いられている代表的なアイテムです。

本は「勉強好き・学者肌」願い

本は筆や筆記用具と同じく学問への道を示すアイテムで、より「知識」や「探究心」に重きを置いた意味合いがあります。本を選んだ子どもは「物知りになる」「成績優秀になる」と占われます。筆が書くことに対して、本は読むことを象徴しており、豊かな知識を吸収して賢い人間に育ってほしいといった願いが込められています。沖縄の家庭では「まずは本を選んでほしい」と願う家庭も多く存在します。

用意する本に決まりはなく、辞書や分厚い専門書などを置くと「難しいことも理解できる賢い子」といったイメージが湧きやすいです。一方で、子どもが興味を持ちやすいように、色彩豊かな絵本や図鑑を選ぶのもおすすめ。絵本であれば子どもも手を伸ばしやすく、結果として本好きとして占われる可能性が高まります。近年では、紙の本だけでなく、電子書籍リーダーやタブレット端末を「現代の本」として置く家庭もありますが、電卓やスマホと区別がつかなくなることもあるため、物理的な書籍が良いとされています。

家庭によっては親の仕事道具やスポーツ用品を追加

タンカーユーエーの特徴的な点として、伝統的なアイテムだけに縛られず、各家庭の個性や願いを反映させたオリジナルアイテムを追加できる自由度の高さが挙げられます。両親が特定の職業に就いている場合、自分の仕事道具を並べて「跡を継いでほしい」「同じ道に進んでほしい」と願うケースもあります。例えば、美容師ならコームやシザーケース、大工ならメジャーやトンカチ、音楽家なら楽器やマイク、医師や看護師なら聴診器などを加えることがあります。

また、趣味や夢を託すアイテムとして、スポーツ用品も人気があります。野球のボールやグローブ、サッカーボール、ラグビーボールなどを置き「将来はプロスポーツ選手になってほしい」「スポーツ万能な子に育ってほしい」と願うケースも増えています。女の子ならバレエシューズ、男の子ならミニカーなど、その選択肢は豊富に存在します。伝統を大切にしつつも、家族ならではのユニークなアイテムを取り入れることで、オリジナルのタンカーユーエーを作り上げられます。

祝いの場としての料理や供え物も準備する

タンカーユーエーは、占いだけでなく、親族や知人を招いて食事を振る舞う祝いの場です。沖縄ではお祝い事の料理を「クワッチー」と呼び、集まってくれたゲストのために、心のこもった料理を準備します。代表的なメニューとしては、豚の内臓を使ったお吸い物である「中身汁」が挙げられます。丁寧に下処理をしたモツが入ったあっさりとしたスープは、沖縄の祝い事には欠かせない伝統料理です。その他にも、赤飯、クーブイリチー、ターンムのから揚げなど、縁起の良い食材を使った郷土料理が選ばれます。

また、家庭でこれら全てを手作りすることもありますが、最近では参加人数に合わせてオードブルや寿司を注文し、中身汁だけは家で作るといったスタイルも増えています。仏壇や火のヒヌカンがある家庭では、行事の開始前に「無事に1歳を迎えられました」といった報告と感謝を込めて、赤飯やウチャワキを供えて手を合わせる儀礼も行います。美味しい料理を囲み、子どもの成長を肴にして大人たちが酒を酌み交わし、笑顔で語り合う時間が、タンカーユーエーと言えるでしょう。

道具の並べ方は子ども目線で取りやすさ優先に

タンカーユーエーの「選び取り」を成功させるためには「並べ方」が重要です。せっかく素晴らしい意味を持ったアイテムを用意しても、主役である子どもが認識できなかったり、手に取りにくい状況だったりしては、儀式がスムーズに進行しません。この時期の子どもは、まだ視力が完全に発達しておらず、視野も大人に比べて狭い状態です。また、運動能力もハイハイやつかまり立ち、よちよち歩きがやっとといった段階となるため、大人の都合で配置を決めるのではなく、子ども目線に立ったセッティングを心がけましょう。具体的に気をつけるべきポイントは、以下のとおりです。

  • 低いテーブルや床に距離を空けて道具を並べる
  • 子どもの正面に横一列かゆるい半円で見渡せる配置に
  • 安全第一で危ない物や誤飲しやすい物は代替品にする
  • どれを選んでも縁起が悪くならないよう並べる

それぞれ順に解説します。

低いテーブルや床に距離を空けて道具を並べる

選び取りを行う場所として、ステージとして畳やフローリングが最適です。沖縄の伝統的な家屋では畳間で行われることが多く、現代のフローリングの部屋であっても、ジョイントマットやラグを敷いた上で行うのが安全で一般的です。子どもがハイハイや座った姿勢で移動することを前提とすると、高いダイニングテーブルやソファの上に道具を置くのは、転落の危険があるため避けましょう。テーブルを使う場合、子どもが座った状態で無理なく手の届く、高さの低いローテーブルを選びましょう。

また、道具を並べる際は、アイテム同士の距離感にも配慮が必要です。あまりに密集して並べてしまうと、子どもが手を伸ばした際に複数のアイテムを同時に触ってしまったり、勢いあまって隣のアイテムをなぎ倒してしまったりして「結局どれを選んだのか判定が難しい」といった状況になりかねません。それぞれの道具の間隔を少なくとも15センチから20センチ程度は空けて配置するのがコツです。さらに、子どものスタート位置から道具までの距離も重要です。近すぎると考える間もなく手近なものを掴んでしまいがちですし、遠すぎると途中で飽きてしまいます。子どもの発達段階に合わせて、1メートルから1.5メートル程度の適切な距離を設定しましょう。

子どもの正面に横一列かゆるい半円で見渡せる配置に

道具の配置パターンとして横一列もしくは子どもを囲むようなゆるい半円(扇形)の形です。すべてのアイテムが子どもから見て等距離にあり、視覚的な公平性を保つための工夫です。道具を前後に重ねて置いたり、ランダムに散らばらせて置いたりしてしまうと、どうしても手前にあるものや目立つ場所に配置されたものが有利になってしまい、純粋な選び取りになりません。平等にチャンスがあるよう、スタート地点の子どもを中心として、放射状にアイテムを並べるのが理想的なレイアウトと言えます。

気をつけたいポイントが色や大きさのバランスです。例えば、真っ赤な表紙の絵本と、地味な色の電卓が並んでいた場合、子どもの視線はどうしても鮮やかな色の方に引き寄せられてしまいます。また、大きなそろばんと小さな小銭入れでは、存在感に差が出ます。完全に均一にするのは難しいものの、派手な色のアイテムの隣には大きめのアイテムを置くなど、全体の視覚的なウェイトが偏らないように調整するとより公正に楽しめます。可能であれば、配置を決めた後に大人が一度床に這いつくばって、子どもと同じ低い視点から全体を見渡してみると「端っこのアイテムが見えにくいな」「これが目立ちすぎているな」といった改善点に気づけるでしょう。

安全第一で危ない物や誤飲しやすい物は代替品にする

道具を並べる段階で必ず安全チェックを行いましょう。いざ床に並べてみると、テーブルの上で見ていた時とは異なる危険性が見えてくることがあります。例えば、ハサミの刃先が子どもの方を向いてしまっていないか、そろばんの角が尖っていて転んだ時にぶつかると危なくないか、といった点です。特に注意したい点として、電化製品のコード類や筆記用具のキャップなどの小さな部品が挙げられます。床に置くことで、子どもが上から覆いかぶさるように触れる可能性があるため、予期せぬパーツが外れて誤飲の原因になります。

また、並べる場所の床自体にも注意を払いましょう。フローリングが滑りやすい場合は、子どもが勢いよく道具に駆け寄った際に転倒する恐れがあります。滑り止めのマットを敷くか、靴下を脱がせて裸足にするなどの対策が有効です。さらに、意外と見落としがちなのが、周囲の環境です。道具のすぐ近くに、熱いお茶が入った急須や倒れやすい花瓶などが置かれている場合は注意が必要です。大人が盛り上がって撮影に夢中になっている隙に、子どもが配置された道具以外の危険なものに触れてしまわないよう、選び取りを行うスペースの周囲半径2メートル以内には、不要なものを置かないように徹底して片付けておくことで安全にタンカーユーエーを楽しめるでしょう。

どれを選んでも縁起が悪くならないよう並べる

精神的な準備として並べ方の考え方も重要です。タンカーユーエーは、子どもの未来を祝う行事のため、どのアイテムを選んでも当たりであり、ポジティブな意味になるように準備しておくことが大切です。「もしこれを選んだらどうしよう」と親が不安に思うようなアイテムは、最初から並べないようにしましょう。すべての選択肢に、正解だと返せるような意味付けを用意しておきましょう。

例えば、最近ではスマホやタブレットを置く家庭も増えていますが、年配の親戚の中には「遊んでばかりの子になるのではないか」とネガティブに捉える人もいるかもしれません。そうならないよう、事前に「これはIT企業の社長になるといった意味だよ」と認識してから並べるなど、その場の空気を良くできる配置の一部と言えます。

また、並べる順番に決まりはありませんが、特に強く願うものを中心付近に置くなど、親の密かな願いを配置に込めるのも一つの楽しみ方です。どの道具を手に取っても、その場にいる全員が笑顔で拍手を送れるような、温かい雰囲気作りを意識してアイテムを配置しましょう。

当日の流れは祈願→並べる→歩かせる→取らせる

タンカーユーエーは、単に道具を並べて選ばせるゲームではなく、古くからの伝統に基づいた厳粛さと、家族の温かい祝福が融合した一連の儀式です。当日の進行は、神様やご先祖様への報告と祈願から始まり、次いで選び取りの舞台となる道具の配置、子どもによる選び取りへと進みます。一連の流れをスムーズに行うためには、親族間の役割分担が重要です。道具の配置係、子どもの誘導係、そして記録係を事前に決めておくと、儀式が滞りなく進むでしょう。

儀式全体の所要時間は、選び取り自体は数分で終わりますが、前後の祈願や祝い膳の時間を含めると、半日を要する大々的なイベントとなることが多いです。そのため、招待客が到着する時間や祝い膳を出すタイミングなども考慮に入れ、無理のないスケジュールを組んでおく必要があります。特に選び取りの瞬間は一瞬で終わってしまいがちです。子どもが道具に手を伸ばし、歓声が上がる、その大切な瞬間を確実に捉えられるよう、事前にリハーサルを行うくらいの意気込みで臨むことが、一生の思い出を残すための重要なポイントとなります。ここでは、タンカーユーエーの一連の流れについて解説します。

最初にヒヌカン・仏壇へ成長祈願をする

沖縄の家庭では、重要な行事を行う前に必ず、家庭内の守り神であるヒヌカンとトートーメーへ報告し、無病息災と子孫繁栄を祈願するといった習わしがあります。タンカーユーエーにおいても、まずは祈願から始めるのが伝統的な正式な流れです。子どもがこの日を無事に迎えられたことへの感謝を捧げるとともに、これからの一年、そして将来にわたる健やかな成長と幸福を、神様やご先祖様に誓います。

祈願の際には、赤飯や尾頭付きの魚、お餅、お茶やお酒といった供え物を用意します。供え物は、ヒヌカンと仏壇の双方に丁寧に配置されます。拝みを行うのは、通常、その家の主婦が担当することが多いですが、近年では両親や家族全員で行うことも増えています。拝みの作法は地域や家庭の宗派によって異なりますが、静かに手を合わせ、感謝と祈りの言葉を心の中で唱える時間は、儀式全体の厳かな雰囲気を作る上で欠かせません。タンカーユーエーは単なるパーティーではなく、伝統的な儀式として正式にスタートすると言えるでしょう。

道具を並べた場所から少し離して子どもをスタートさせる

神仏への祈願を終えた後、選び取りの儀式に移ります。事前に並べられた道具を、子どもから見て見やすい位置に設置します。道具を並べた場所と、子どもをスタートさせる場所の間には、適度な距離を設けましょう。一般的には1メートルから1.5メートル程度が目安とされています。距離は子どもがすぐに手が届かないことで、どのアイテムを選ぶか考える時間を与えるとともに、ハイハイやよちよち歩きで道具に向かっていく流れを親族全員で楽しむための演出とも言えます。

子どもをスタート地点に配置する際は、親が抱っこした状態から優しく床に降ろし、道具が並べられた方向を向かせて「さあ、おいで」と声をかけます。子どもが道具に向かってスムーズに歩き出すように、親や親戚は過度な誘導をせず、温かい眼差しで見守り、拍手や歓声で励ましてあげることが大切です。道具の近くに子どもが普段使っているおもちゃや、気が散るような装飾品がないか最終チェックを行いましょう。子どもの視線が集中するよう、大人は道具の背後や横には立たず、スタート位置付近や道具の周囲から静かに見守る方法が理想的です。

子どもが最初に手に取った道具で将来の方向性を読む

選び取りの最後には、子どもが道具に向かって進み、最初に何かを「手に取った」その瞬間です。タンカーユーエーの占いの原則は「最初に触れたもの、または最初に掴んだものが、将来の方向性を示す」と言われます。最初に掴んだものが何であるかを、場にいる全員が明確に認識することが重要です。子どもが手を伸ばし、アイテムに触れた瞬間、親や司会役は大きな声で宣言し、選ばれた道具に込められた意味を伝えましょう。

判定が曖昧になるケースも想定されますが、その場合は「最も長く手に持っていたもの」や「最初に持ち上げて遊んだもの」を親の判断で採用するのが一般的です。ただし、厳密な判定よりも、その場を楽しく盛り上げることが最大の目的です。選ばれた道具の意味をポジティブに解釈し、親族全員で拍手喝采を送ることで、儀式は最高の盛り上がりを見せます。親の願いが子どもに伝わり、家族の絆が深まる、タンカーユーエーの最も感動的なポイントと言えるでしょう。

2つ目・3つ目も見て合わせ技で解釈する家庭も多い

伝統的な解釈では「最初に手に取ったものが全て」とされますが、現代のタンカーユーエーにおいては、占いの結果をより豊かに楽しむために、「2つ目」や「3つ目」に手に取った道具も見て、それらを組み合わせて将来を解釈する家庭が増えています。人生が多様化し、一つの才能だけでなく複数のスキルや興味を持つことが求められる現代社会の価値観を反映した、新しい楽しみ方と言えます。子どもが次に何を選ぶかによって、占いの意味合いがさらに深まるため、親族も最後までワクワクしながら見守ることができます。

例えば、最初に「お金」を選び、次に「筆」を選んだ場合、「財力に恵まれた文筆家になる」「金融界で活躍する学者になる」といったように、二つの意味を掛け合わせた解釈が生まれます。

また、最初に「ハサミ」を選び、その次に「そろばん」を選んだ場合は、「ファッションデザイナーとして独立し、経営者としても成功する」といった具体的なキャリアパスを想像できます。合わせた解釈は、占いをあくまで親子のコミュニケーションや親族の団欒のきっかけとして捉える柔軟な考え方に基づいています。どちらを選んでも否定的な意味にならないよう、前向きな解釈を即座に引き出せるように、事前にいくつかの組み合わせパターンを考えておくと安心でしょう。

写真や動画を撮って家族イベントとして残す

タンカーユーエーの選び取りの瞬間は、わずか数十秒から数分で終わってしまう一瞬の出来事です。しかし、子どもが人生で初めて「自分の意志で未来を選択した」とも言える、かけがえのない大切な場面です。貴重な瞬間を永久に残すために、写真や動画の記録は絶対に欠かせません。親族の中から事前に「記録係」を設定し、ビデオカメラやスマートフォンを準備して、撮影に集中してもらうように役割分担をしておきましょう。

撮影する際は、道具に手を伸ばす子どもの表情や、道具を掴んだ瞬間のアップだけでなく、周囲で見守る親族の笑顔や歓声が聞こえるように広角で撮ることも大切です。特に親族一同が選ばれた道具を見て拍手する様子や祝いの言葉を述べるシーンは、後で見返した時に温かい気持ちになれるため、ぜひ記録に残しておきたいポイントです。

また、動画を撮る際は、子どもの視界に入らない位置から撮影し、フラッシュは子どもの目に刺激を与えないようオフにするなど、安全面と子どもへの配慮も忘れずに準備が必要です。選び取りが終わった後も、祝い膳を囲む賑やかな団欒の様子やゲストとの記念写真なども撮影し、家族の歴史の貴重な一頁として大切に保管しましょう。

タンカーユーエーに関するよくある質問

歩けない場合はハイハイでも大丈夫?

問題ありません。1歳になったばかりの時期は、すでに歩ける子もいれば、ハイハイやつかまり立ちがメインの子もいます。個々の成長スピードに合わせて行いましょう。移動が難しい場合は、座っている赤ちゃんのすぐ近くに道具を並べたり、大人が抱っこして誘導したりしても構いません。無理に歩かせようとして泣かせてしまうよりも、ハイハイで一生懸命に進む姿を応援したり記録したりする方が重要です。

道具は全部そろえないといけない?

必ずしもすべての伝統道具を完璧に新品で揃える必要はありません。家にあるもので代用したり、親戚から借りたりしても大丈夫です。近年では、100円ショップのアイテムやおもちゃを活用する家庭も増えています。大切なのは、アイテムを並べて「将来を占う」といった、家族みんなで成長を祝う気持ちです。形式にとらわれすぎず、準備できる範囲でオリジナルのセットを作り、無理なく楽しみましょう。

いつやるのが一般的?誕生日当日?週末?

誕生日の当日に行うのが通例とされていますが、現在は親族やゲストが集まりやすい直近の週末や祝日に行うのが一般的です。家族や親戚の都合や遠方から来る祖父母の予定を優先して決めて問題ありません。

また、日柄を気にして日程を調整する家庭もあります。あくまでお祝い事ですので、参加者全員が余裕を持って集まれる日を選びましょう。

本土の「一升餅」「選び取り」との違いは?

基本的な意味合いは似ていますが、タンカーユーエーは沖縄独自の「選び取り」がメインの行事であり、アイテムに赤飯が含まれる点が大きな特徴です。一方、本土の「一升餅」は餅を背負わせて健やかな成長を願う力試しのようなものです。近年では、タンカーユーエーの流れの中に一升餅を背負わせるイベントを組み込むなど、両方の良さを取り入れて盛大に祝う家庭も多く見られます。

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